CFP®資格取得を皮きりに地域貢献活動に取り組み充実した第3ステージ生活!
「会社人間」から「社会人間」へ
大手家電グループで統合経営管理システムの導入コンサルタントとして活躍したタカさん。定年退職とともに、これまでとはまるで接点のないFPの資格を取得することを決意した。
「現役時代は企業の諸機能の仕組みを探求するのが仕事でしたが、個人が社会生活を送るうえで必要な機能については断片的知識しかない。なんとなく不安で頼りない感じがしていました。そこで企業の傘を離れたのを機に、迷うことなくFPの勉強を始めたのです」
会社を辞したら、今度は社会の一員として地域に根ざした生活を送る。仕事にまい進する「会社人間」から、地域レベルでものを考える「社会人間」へ。それがタカさんの定年後の処し方だった。
「未知の分野に挑戦することに不安はありましたが、それより細切れの知識が次第につながって全体像が見えてくるのは楽しみでした」
2006年の退職後、AFP試験に合格した。
「CFP®資格に挑戦するかは迷いましたが、近所にお金に関わるトラブルで困っている人がいると知り、支援したいと思うようになりました。実務経験が十分ではないぶん、専門知識は充実させたいという思いが後押しになりましたね」
地域密着の生き方、社会貢献を模索するタカさんならではの選択だ。ところで、タカさんはAFP試験から1年半後にCFP®試験に挑戦を開始した。07年はまったくFPの勉強から離れていたのだが、その理由は……。
「築二十数年のわが家を建て替えていました。建物だけでなく庭から塀、照明や電気設備にいたるまで、自分で図面を引いたり、自力で造った部分も随分あるな」
凝り性なのだ。とことんこだわるため建築や造園なども勉強し、業者も舌を巻くほど詳しくなった。なんと竣工後には、電気工事士第2種の資格まで取得。
「60歳過ぎて畑違いのFPの勉強を始めた理由を『ボケ防止』と話していますが、本当の動機は知的好奇心」と言うように、タカさんの旺盛な好奇心、知識欲はとどまるところを知らないようだ。CFP®試験の勉強は完全に独学。過去問題集を2~3回、繰り返し解くことに集中した。
「試験場では全問が以前やったことのある見慣れた問題だと感じたほどです」
しかし、電卓の操作には苦労したとか。
「ほかの受験生が左手で電卓のキーを打ち、右手で解答を記入しているのを見て唖然としました。解き方がわかっているのに電卓の操作が遅い、打ち間違うのには悔しい思いをしました」
しかし、「どんなものか、やってみなければわからない」から全課目一括で受験した結果は、5課目の合格。次の試験で残り1課目をクリアした。
そして今、タカさんは実に多忙だ。市が公募する福祉関係などの各種委員や相談員、ボランティアとして精力的に活動する一方、太極拳のサークルに参加して地元でのネットワークを築いたり、SGでの班長に名乗りを上げたり。
「“地縁”がどんどん広がってきて毎日が楽しいし、うれしいですね」
タカさんは初志貫徹で「社会人間」を着々と実現しつつある。
(5月2日掲載)