講師:石井さん 緑町地域包括支援センター看護師(男性のベテラン看護師さん)
高齢者、知的障害者、精神障害者が成人後見人制度の対象者。ということで、高齢者の特徴についての講義。だが、重点は認知症について。もう、何度となく聞いた話だが、机上の勉強ではなかなか実感が湧かない。
高齢者は法律的には65歳以上。老人は、老化により心身機能が低下し、自立した生活に支障がある人、だそうだ。
その違いは小さいようで大きい。昔は60歳過ぎると殆どが老人であったが、現在は、法律的に後期高齢者となる75歳位から老人というイメージに近い。 それでは老化とは? 加齢による身体の不可逆的な変化、だそうだ。 調べると色々な定義があるようだが、いずれにしても、人により老化のスピードは異なる。典型的な高齢者・老人などどこにも存在しない。 高齢者の特徴として、一括りにするのも無理があるような気がする。高齢者との関係では、いわゆる老人扱いしないことが大切とのこと。 老人虐めといわれない範囲でではあるが。
ところでクイズ。
20歳代と70歳代で余り変わらない臓器は何? 肝臓
高齢になっても余り衰えない筋力は何? 握力 → 手摺が役立つ理由はココにあるそうです
(お猿の赤ちゃんは母猿にしがみつきます。人間の赤ちゃんも生まれたて凄い握力です。人間はやはり猿から進化したのだ)
動物で最も長生きは何? 亀 では、その次は? 人間 → 哺乳類では人間が一番。 → 平均寿命が最も長いのが日本の女性。 即ち、地上で最強な哺乳類は、日本の女性! → 確かに。納得。異議なし!
認知症の診断は難しい。色々な診断方法があるようだが、講義での説明は以下
① 記憶障害がある(特に短記憶障害)
② 失語・失認・失行・実行機能障害の一つがある
③ ①と②のために生活に支障がある
④ ①と②の原因として脳などの身体疾患がある
⑤ 意識ははっきり(しっかり)している
タカさんも高齢者一歩手前なので、思い当たる症状?はある。
よく「認知症による物忘れと加齢により物忘れの違い」を聞くが、灰色の領域もあるので、完全に正常だとは主張し難い。
加齢による物忘れも人により千差万別だし。
認知症の原因としてアルツハイマー病が増加しているそうだ。脳血管障害、その他と比較してみると、昔は、1:8:1.現在は、6:2:2。
脳血管障害型認知症と比べて、症状が出るのがゆっくりしており、認知症と認識するのが遅れるそうだ。脳血管型認知症の場合は、脳血管障害を予防するような生活習慣という対策も考えられるが、アルツハイマー型認知症に関しては、原因が特定されていない。以下のような記述を見ると絶望的になる。
アルツハイマー病の病気の進行は大きく3段階に分かれる。根本的治療法のない病気なので下記のように慢性進行性の経過をと る。
・第1期 記銘力低下で始まり、学習障害、失見当識、感情の動揺が認められるが、人格は 保たれ、ニコニコしており愛想はよい
・第2期 記憶、記銘力のはっきりとした障害に加えて高機能障害が目立つ時期で、病理学的な異常が前頭葉に顕著なことを反映して視空間失認や地誌的見当識障害が見られる。この時期には、外出すると家に帰 れなくなることが多い。更に周囲に無頓着となったり徘徊や夜間せん妄もみとめられる。特に初老期発症例では、感覚失語、構成失行、観念失行、観念運動、観念運動失行、着衣失行などの高次機能障害も稀ではない。
・第3期 前頭葉症状、小刻み歩行や前傾姿勢などの運動障害もみられ、最終的には失外套症候群に至る。
おどろおどろした表現が並びますね。(説明を受けても直には分かりません)
認知症になった人も気の毒だが、ケアする家族の苦労は悲惨!
ケアの基本として、「認知症の人を知る」、「残存能力に働きかける」など10項目が挙げられた。
しかし「周囲の理解を得る」というのは、できるだろうか?
万引きをするかもしれないので、スーパーに事前に伝えておく、徘徊するかもしれないので、近所に伝えておく、など。「認知症は恥」という気持ちがあれば、なかなか事前に伝えられない気がする。思い切って、伝えたほうが楽になるのだが、回りの理解が得られるか?
その点「介護する人をケア」は、非常に大事! 家族の会など、同じ環境の人なら、苦労・愚痴を話し・自慢?できる。先輩の苦労話から共感・安心も得られ、ケアのヒントも得られるかもしれない。 「安心老後」というサイトで、「ここで心情を吐露するのが唯一の息抜き、精神安定剤」という投稿もあった。直接支援できなくても、温かく見守り、声を掛けてあげるだけで、ケアする家族が安心し、地域環境が安定し、その環境が認知症の方の安心・安定につながり、症状が安定するのだそうだ。
地域(福祉)力の強化は一朝一夕にはできない。行政や民間の協働が最も求められる領域だと思われる。頑張らなければ!
(5月12日掲載)