公民館研究大会との合同開催。約1000名がつくば市に参集。西東京市からは社会教育委員6名、公民館職員6名、教育委員会職員1名の計13名が出席。
「もっと動け」が主テーマ。協働の時代を迎え、公民館・社会教育委員は埋没している。原点に立ち返って頑張ろう、というもの。その意気込みや良し。
だが、どうやって? 「マネジメント・コミュニケーション・プレゼンテーション力を磨け!」が提言。 シンポジストの指摘は耳に痛い、口に苦い。紹介された先進事例はまばゆい。 西東京市も頑張らねば。
現状認識と基本的提案
1)公民館は、「市民センター」や「街づくりセンター」へ。新たな看板を掲げる地域が増える中、伝統ある名前を残せ、という声は強い。が、公民館 という名前に染み付いた趣味・教養の場という(マイナス)イメージを避け、社会地域活動の拠点という公民館の原点に立ち帰り、知や情報の交流拠点として変身してみませんか、という提案。
2)社会教育は、何をしてきたのか? 今、話題の「新しい公共」の本質は、社会教育そのもの。 社会教育委員がもっとシッカリしていれば・・・・・・。 シンポジストの一人が、文科省で、社会教育委員は何をしているの?と聞かれたそうだ。 社会教育委員の設置は任意であり、その存在感は薄い。 行政からの諮問を受けて答申・提言するだけの受身の姿勢では駄目、自主的に行動してみませんか、という提案。
各シンポジストの提案
1) 茨城キリスト教大学教授川上氏=<マネジメントの視点>から
PDCAサイクルを導入せよ。生涯教育(制度、ハード、ソフト)をシステム化せよ、が基本的な提案。そのシステムとしての仕組みを整備するのが行政の役割。水戸市では全小学校区31毎に公民館があるが、この公民館を市長部局へ移し「市民センター」へ改称。教育委員会に総合教育研究所を設け、「みと好文カレッジ」を頂点に生涯教育の体制を整備、一元的に展開。
2) 茨城大学准教授長谷川氏=<コミュニケーションの視点>から
「新しい公共」を、「公共とは?」「新しいとは?」の視点で解きほぐし、少子高齢化社会・無縁社会での対話(コミュニケーション)の重要性を強調。行政と市民の対話の難しさを、①行政の非対話体質、②市民(目的別団体)間の対話、③市民内部の対話(家族内(伴侶間)、世代間)など、多面的な観点から解説。
3) 常磐大学教授金藤氏=<プレゼンテーションの視点>から
何故、地域活動の協働にプレゼンテーションが必要なのか?を、2つの事例(水戸市「さきがけ塾」と八潮市「やしお市民大学・大学院」)で説明。プレゼンテーションの基はプレゼンス(存在)。社会教育委員も存在感を発揮せよ、と鼓舞。
4) 茨城県公民館連絡会議元会長大川氏=<公民館活動の視点>より
公民館は地域活動のネットワーク化の拠点。市民活動は行政に合わせて縦割りになる傾向あり。社会教育団体だけでなく、福祉、防犯、・・・の諸団体をコーディネートせよ。地域には多才な人材が眠っている。鹿島市では、公民館→「公民館・街づくりセンター」に改称、趣味・教養から本来の社会システムづくりに注力。
5) NPO法人「暮らしの企画舎」代表井口氏=<実際の活動の視点>から
つくば市での、市民主導の地域活動を紹介。①公金を使う以上、社会貢献する活動を、②協働は工夫次第。協働せずにできることはない、と主張。
これからの公民館・社会教育委員へ期待すること
1) 川上氏:震災を機に社会活動に目覚めた人が増えた。社会教育委員が支援を。
2) 大川氏:公民館は人との出会いの場。自分の成長の場。市民の相談に応えるには、日頃から問題意識を持っておくことが大切。
3) 金藤氏:新しい公共の実現には、当事者としての参画が必要。現場での存在(プレゼンス)が大切。
4) 長谷川氏:無縁社会に立ち向かえ。市民に「関わる力」、関係力が大切。誰のものでもないが皆のもの。それこそ公共。新しい公共だ。
5) 井口氏:つくば市では、小学校区毎に公民館があるほど充実しているが、そこに誰がいるかが重要。大学と手を結んだり、FacebookやTwitterの活用検討も。市民大学と公民館の協働が上手くいっていないので、何とかしたい。
個人的な感想
1) テーマが長い:「新しい時代<協働の時代>の生涯教育・社会教育・公民館活動を推進するための公民館・社会教育委員の新しい姿を探り、創り、そしてさあ動き出そう」とある。ちょっと強引な設定だが、この長いテーマに、伝統ある両団体の活動の難しさと新しい想いが込められているのか。2) <新しい公共>の主役にしては長老が多い:伝統ある全国組織で活動形態も多様。社会教育委員も名誉職的なものから実践的なものまで。開放的から閉鎖的まで多様と聞く。西東京市はどこに位置付けられるか。
3) 生涯学習・社会教育・公民館活動の関係が曖昧:西東京市の生涯学習推進計画を読んだ際の不思議感が蘇った。「西東京市」を、多摩地区の〇〇市に置き換えてもそのまま通用しそうで、どこに西東京市の固有の姿があるのだ? PDCAとシステム化を謳う「水戸市新生涯学習推進基本計画」は参考になりそう。
以上