登録生活支援員研修(第11回:知的障害者の特徴)

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講師:田辺広子さん  NPO法人ハンディキャップサポート ウーノの会 理事長

知的障害者と精神障害者の特徴については、今年1月の「社会貢献型後見人等候補者の養成講座」で話を聞いたが、馴染みのない用語が頻出し、何となくモヤモヤした状態であった。 今日は、知的障害と精神障害の連続した講座なので、両者の違いが整理できた。

知的障害者の定義は、法令上は、発達期(18歳未満)に起因する知的障害(IQ70~75以下)で社会的適用力が低い人、だそうだ。ポイントは、「18歳未満に発症」すること。それ以後の知能低下は、症状が類似しても知的障害とは扱われない。「先天的なのが知的障害、後天的なのが精神障害」と単純化してもおおよそ正しい。Wikipediaによると、法令上の用語として の知的障害は、精神医学の領域における知的発達障害に照応することが多い、とある。

更に、Wikipediaによると、【知能指数の分布からは、IQ70以下の人は2.27%(約40人に1人)で、日本の知的障害者の理論値は284万人。しかし、公的な知的 障害者数は推計41万人であり、理論値の6分の1ないし7分の1と、著しく少ない。また、上記の41万 人のうち84%が療育手帳所持者だが、軽度・中度の手帳の所持者が55%、重度・最重度の手帳の所持者が45%。理論上の出現頻度を考慮すると、軽度・中度の手帳所持者は実際の軽度・中度の人数のうちのごく一部であると考えられる。この乖離(かいり)の原因 は、特に障害が軽い場合、学校や生活での不便は感じていても、障害認定を受けられる可能性に気付かない場合や、世間体や自尊心を保ったり、いじめを懸念したりするためにあえて申請しない場合などがあるためであろう。境界例もしくは軽度の場合、思春期~成人に なって初めて診断されるケースもある。】とある。
この障害認定は、障害者年金の額に大きく影響、各種の保護・援護サービスを受けるための最重要要件。非常に大切な診断だが、18歳以降に診断を受けるのは非常に困難だそうだ。

西東京市には旧田無/保谷に各々「手をつなぐ親の会」があり、講師の田辺さんは、保谷の活動をベースに2000年にウーノを設立。現実・現場の体験談は迫力があった。 知的障害者は、先天的なだけに、代弁者は親。 親が子を守る愛情が、他者の介入を妨げる面もあり、知的障害者の可能性を狭めている事もあるとのこと。 知的障害認定でも、我が子の知的障害を認めたくないと、親が子どもを囲い込んだため、認定申請に苦労したとの説明があった。(因みに西東京市の知的障害者の数は一切公表されていない。当然ではあるが)

他人に後見人を頼む事は、親が子どもを抱え込む傾向があるためか、西東京市での実績はゼロ。 但し、今後は「親無き後」の現実に直面し、社会貢献型後見人に対する期待は大きいそうだ。 知的障害者を親の過保護や思い込み(関係が近すぎて成長が見えない)から解き放ち、社会経験を経験させる。社会が知的障害者を偏見なく暖かく見守り・迎え入れる。などの社会全体、地域全体の環境整備が重要。 知的障害者は変われないので、どこまで、地域が変われるか、市民が変われるかが試されている。
知的障害者は、直観力(人を見抜く力)が優れているので、誠心誠意をもって接するしかない。後見人たりえる資質があるかどうかが試されるようで緊張しそう。

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