平成22年度 地域福祉権利擁護事業 新任生活支援員研修会(6月2日)

Share on Facebook

社会福祉法人東京都社会福祉協議会(略称:東社協)主催
新任の生活支援員が対象。半年以内に採用された人が主体。総勢109名。女性が8割以上。女性も年配者(40~50歳代?)が多いが、男性は殆どが60歳以上。 最多は、府中市社協の10名。次いで八王子社協が9名。杉並区社協が8名。そして我が西東京市が6名。 (他の地区の勤務形態は不明だが)西東京市は、週1日勤務の臨時職員なので、実質は1.2名。  因みに西東京市の内訳は男性2名と女性4名。比率的には男性が多い。
以下、講義の順にポイントを記す。

講義① 【地域福祉権利擁護事業(略称:地権事業)とはなにか】 講師:東社協地域福祉部 統括支援員 小野さん
10年前は、「新人」研修。現在は、半分は経験者。福祉関連や別業務から来た人。
裾野が広がり、関心が高まったと言うこと。 従って、「新しい人(新人)」でなく「新任」研修に変更したそうだ。
1.高齢者・障害者の現状
・ 単身所帯が増加(4所帯に1所帯) 家族の助けが受けられない→孤独死
・高齢者(65歳以上)のいる所帯は全所帯の4割。内夫婦世帯が3割 →老々介護 単身世帯が2割強→孤独死
・地域における課題
-孤独死→中高年の男性単身者 -徘徊死→認知症高齢者 -高齢者虐待 -消費者被害
-障害者の地域移行→施設・病院の病床削減に伴い6万人が見込まれる(本件は背景が複雑)
・福祉制度の現状
-高齢者福祉: H12/4 介護法施行→多様なサービス供給主体の参入(当初の14倍(200→3000→2800))
-障害者福祉: H15/4 支援日制度開始 H18/4 障害者自立支援法施行
*措置から契約へ→事業者と契約→契約は読むのも難しい
2.地権事業制度創設の背景
・措置から契約へ→判断能力が不十分な人の権利擁護の仕組み
→福祉サービス等の利用援助・日常生活上の金銭管理等を提供する支援システム
→公的信頼性を高めるため社会福祉事業法に位置付け  → 社協が取り組む
・H11年10月 地権事業開始←介護保険の要介護認定が開始
・H12年4月 介護保険法施行/成年後見制度施行
・H12年6月 社会福祉法(以前は社会福祉事業法)改正
→ 福祉サービスの利用制度化(措置から契約へ)
→ 利用者保護のための制度の創設 ①地権事業 ②苦情解決の仕組み ③説明・書類交付の義務付け
・H13年4月 消費者契約法施行  ・H15年4月 支援費制度開始  ・H17年6月 介護保険法の改正
・H18年4月 高齢者虐待防止法施行、 障害者自立支援法施行
・H19年4月 地権事業の名称変更 → 日常生活自立支援事業(何故?→地域福祉権利擁護事業は分かり難い)
→ 但し、東京とは地権事業を継続利用(何故?→「権利擁護」を大切に考えているから)
3.地権事業の概要
・利用者との契約に基づき、認知症や精神障害者等により日常生活を営むのに支障があるものに対し、福祉サービスを行い、並びに・・・・・。 ウーン、長いので省略。
-ポイントは、契約が出来る人が対象→では出来ない人は?→成年後見制度(私達、登録生活支援員はこのための要員!)
-日常生活とは→千差万別、規定できない! 支障がある?→どうやって判断→専門員がガイドラインで見分ける!
・地権事業の実施主体は、都道府県社会福祉協議会(例えば東社協)。事業の一部を区市町村社協(例えば西東京市社協)に委託。
-東社協での実績: 相談13万件/年 契約中は2500件  毎年大きく伸張 →だから、生活支援員の増強が必要
・援助の内容と方法は、・・・ 長いから省略(新味なし)
・地権事業の特徴では、「障害者、高齢者の垣根がない珍しい事業」と、わざわざ特記してある。
症状が同じなら対応も同じが当然。とも言えるが、当然でなかったので、珍しい!となるのだろう。
4.成年後見制度との連携
・地権事業契約解約者の4人に1人が青年後見制度へ移行
→ (家族・親族でなく)第三者後見人との契約の可能性 →市民後見人の出番です!

講義② 生活支援員の役割と具体的業務
講師:東社協 地域福祉部 権利擁護担当 市丸さん
・援助の目的である「判断能力の不十分な人の権利の擁護。自分の意志に基づいた自立した生活の実現」を、具体的な業務に展開するのは難しい。 判断能力が不十分とは? 権利とは?自分の意思とは?自立した生活とは? 全て、抽象的、形容詞的。 具体的でない。動詞的はない。
・具体的業務で、明確なのは、契約に基づいてサービスを提供することぐらい。この計画書や支援計画の作成・変更は専門員の業務。支援員は、契約締結後の援助を行うだけ。 一見、支援員は(判断業務がなく、言われたことだけやっていればよい)気楽な家業のような気もする。 が、そうでもない。 個人的には、三つの難しさを感じる。
 -契約以外はしてはいけない。
  ボランティアなら、家族なら簡単にしてあげられることでも、契約となると禁止。親切ダメ、お節介ダメ。生死にかかわる場合以外は、ダメダメの世界。 「主役はご本人!、判断するのはご本人! 自立、自立!」。  確かに「小さな親切、大きなお節介」の面がある。本人をスポイルするかもしれないし、本質的な問題解決を遅らせたりすることがあるかもしれない。 素人判断が、大きなトラブルを引き起こすかもしれない。
 だけどね・・・・。 便利屋までとはいかなくても、もう少し利用者本人の身になったサービス提供もあるのでないかな。
 -自分で判断してはならない。
  契約書や支援計画は、全てを網羅しているわけではない。現場では様々なことが起こりうる。思わず、何とか自分でしてあげたくなる。が、そこは我慢我慢! 素人判断は禁止。例え契約内の業務と思われても。 何があっても、まずは相談員に相談!(自立型の人間にとって、何事もお伺いをたてねばならない、というのは辛いものがあるかもしれないが、チームワークが大切)
 -あらゆることを記録・報告
  利用者の状態は加齢により、季節により、環境の変化により変化。契約書や支援計画自体が、状況に追随できなくなる恐れがある。
  相談員が、支援計画の更新を検討。となるが、その変化を報告するのが専門員のアンテナ役である支援員。「今日も元気でした」という報告は、最低。報告になっていない。 「アレェ」と感じたことは、事実として、全て記録・報告が鉄則。 「アレェ」と感じる感性や人間観察力がまずは大事。地域のケア仲間との情報共有・交換も(本来は専門員の仕事だが)、現場のアンテナ役としては大切。

活動報告【生活支援員の具体的な活動】
・丁度、一年前に生活支援員になられた方の体験報告。丁度、同年代の男性。生々しく参考になった。
・一年目にしては、非常に難しい利用者を担当。生活支援員には男性が少なく貴重。そのパワーに期待したとのこと。
・個人情報の保護の観点から詳細を記載できないが、印象的なポイントを二つ。
 -最初に訪問時、ドアを開けるとゴミの臭いがした。ビックリした。が、5分で慣れた。今は、全然問題ない!
   エェ! 自分にできるかな?? 本当に慣れるのかな? 慣れたくないなぁ・・・
 -電球交換を頼まれた。が、契約上は禁止!結局、包括経由でヘルパーさんが交換。何でも屋でないですよと言いながら。これもヘルパーさんにとって、契約違反か? 色々やらない理由はあるのだろうが、・・・・。

グループ討議【いろいろな場面での生活支援員の役割と業務】
 18班、6名/班。 6つの状況での支援員の役割と業務をワイワイガヤガヤと討議。様々な意見が出て面白かった。実際のケースはまた異なるだろうが、特別生活支援員は、1ケースしか担当しないので、このようなケーススタディは非常に貴重で役立つ。

 最後に、「初心を忘れるな」「熱い心と冷静な頭」を贈られ、解散。

カテゴリー: 登録生活支援員 パーマリンク