登録支援員実習4日目(その1) 預金の払い出しに同行

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生活支援員の主要な仕事は、福祉サービス利用契約支援と日常的な金銭管理。利用者が通帳を管理している場合は、銀行に同行して預金を引き出すのを支援。本日の利用者は、生活保護(以降、生保と略)を受けているので、本来は預金は殆どないはずだが、何故か定期預金が見つかった。 爪に火を灯すようにして貯めたものだろうが、元は税金。 この定期預金は、生活費に充当するのが当然。 ということで、市役所の生保ワーカー(ワーカーというと、元メーカー勤務のタカさんは、工場の工員を想起するが、福祉の世界ではスペシャリストを示すようだ。ソーシャルワーカーとかケースワーカーというように使われる)と社協の担当相談員、同僚の登録生活支援員の4名で利用者を訪問。
目的は、利用者の定期預金を解約して普通預金に預け換え、その普通預金から当座の費用を現金で引き出す、というもの。

利用者は、西東京市の市民だが、現在は近隣地区の介護老人保健施設(以降、老健と略)に入院中。 なので、西東京市から外へ。これは予想外。かなり遠くへ出ることもあるようだ。 地域福祉は、地元と狭く考えていたが、地理的には100km程度まではカバーする可能性もあるそうだ。
次に、利用者は1年以上この老健に居るというのには驚いた。 本来老健は、自宅復帰のためのリハビリ施設で、3ヶ月を限度に受け入れるのが規則。この老健は何時までも居れるようだ。いわゆる特養待ちの「たらいまわし」の必要もない。

老健に入ると、例(ゴミ屋敷?)の臭いが鼻を突く。 が、数分で慣れる。 利用者を 車椅子に乗せてから、生保担当ワーカーが本日の目的を説明。 途端に利用者が拒絶反応を示す。 事前に話してあったはずだが、理解していなかったのか、はたまたいざとなると気持ちが揺らぐのか。 コツコツ貯めた預金が引き出されるのは、大きなショックではあろう。(と、勝手に想像したが、本当のところは分からない) こちらも、このまま引き下がれない。 懸命に説得。 何とか道理が通ったようだ。 早速、(気が変わらない内に)車椅子を車に積みこんで銀行へ。 炎天下、どうにか利用者を銀行内に運び込んだが、長い行列。 このままだと、利用者の体調にも影響するので、頼み込んで特別対応となった。やれやれである。 ところがこれかも悪戦苦闘。

まずは、自署のサイン。どうにか独力で成功。 次は、定期預金の解約。 これが大苦戦。 生体認証が上手くいかない。 手のひらがやや硬直して大きく開くことができないので、何度試みても失敗。 とうとう銀行側が認証を断念。 暗証番号の入力で認証すると言う。 さて、利用者が暗証番号を覚えているか? 皆がそっぽを向いている中でテンキーを叩く。 やった、1回で成功。 全員が安堵のため息。
次に普通預金から現金の引き出し。 車椅子で、ATMへ向かう。 今度は、暗証番号の入力で失敗。 何故? まず、タッチパネルのテンキーでは、入力の確認が実際のテンキーのようにはいかない。 ATMは立って操作することが前提なので、車椅子では不可能。 一応立ち上がるのだが、フラフラして安定しない。 結局、生保ワーカーが代理操作せざるをえなかった。 文明の利器も、不便なものだ。 大体、高齢者に生体認証によるセキュリティを勧めないで欲しかったな・・・。

今回は、生保ワーカーと協働したが、生保ワーカーの仕事の内容は生活支援員と似ている。 生保ワーカーは利用者へお金を渡す「入り」の立場から、生活支援員は利用者がお金を支払う「出す」の立場から、の金銭管理。 生活支援員が金銭管理中に、預金が底を付いて、生保を申請。 または、生保利用者が、計画的な金銭管理ができなくなり、生活支援員が支援。 という、両方の形が考えられる。 生活支援員にとって、生保の勉強が重要のことがよく理解できた。

今回の経験で、研修で学んだ「原則(理想?)」と、現場での「現実」のギャップを知ることができた。 上記に一部記述したが、他にも、生保の最低限の生活水準レベルでコツコツと貯金する人と貯金するだけ損だからと節約をしない人の存在。 特養(終の棲家)で、利用者の金銭管理を行って、喜ばれていると言う事実。 じょくそう(床ずれ)防止のための空気マットが必需品のようになっている事実、などなど。

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