テーマは「みんなで考えよう、認知症のこと」。西東京市福祉部高齢者支援課主催。
認知症を知る1ヶ月キャンペーンの一環。地域包括支援センター8ヶ所もPR。
コーディネーターはサポートハウス年輪理事長の安岡氏。この領域の重鎮。パネリストは、成年後見のプロとして山崎司法書士、認知症家族の会を代表して藤池氏、福祉サービス提供業者代表として「きらら」の青木氏、認知症患者との接点が多い企業代表としてりそな銀行の平澤氏。各々10数分の報告後、質疑応答。
個人的には、(成年後見も福祉サービスについては聞く機会が多いので)藤池氏の報告(若年性アルツハイマーのご主人の生々しい介護経験)が印象的であった。認知症患者の話は、色々な事情から具体的に話されることが少ないので、藤池氏の報告には胸が打たれた。
インターネット上でも患者家族の悲痛な叫びを読むことができるようになってきたが、直接聞くのは一段と心に突き刺さる。 会場も静まり返って聞き入っていた。
過去7年半の経験からのアドバイスは3つ。
近所の人に早く話す。(藤池氏の場合は施設に入る時に打ち明けた。遅かった)
施設を早く見学する。(藤池氏の場合は遅かったので、高額な有料老人ホームに入居)
家族の会に早く入る。(藤池氏の場合は、非常に助けられたそうだ)
会場からも意見あり。いずれも「早く」がキーワード。 認知症サポーター養成講座をもっと早く受けていれば、違った対応ができたのに・・・(これについては、柳沢小学校で小学生78名が受講したと報告あり)。もっと早く病院に行った方が良かった・・・等々。
いずれも分かっていることだが、実際にはなかなか実行できない。
身内に認知症の患者が出て、経験してみて、初めて、身近に、真剣に認知症に向き合うことができる、ということ。 逆に言うと、家族に認知症がいない幸せな家族は、結局は他人事にしか感じられないというのが、人間の意識の癖である、らしい。
「早く」できない理由の一つに、患者のプライドもあるようだ。特に男性。デイサービスの施設を見学しても、気乗りがしない様子がありあり。こんなことをするの? 何をやるの、ということらしい。もう少し、能動的に参加できる仕組みや内容を増やす工夫が必要。デイサービスという名前を変えた方が良いとの意見も。他の利用者を助ける役割をもつことによりイキイキしてきたという事例も紹介された。 確かに赤ん坊か幼児のように扱われるのは嫌なものだ。
他に納得したのは、介護者が、介護しながらも自分の時間を持つことの重要性親族全体や地域の理解も必要なようだが、介護者がつぶれたら患者も周りも大いに困る。
今回のテーマは「みんなで考えよう、認知症のこと」であったが、聴講に来た人は、家族に認知症患者を抱えた人か、サポート機関の人が多いようであった。 「みんな」の輪をどう広げるかが、大きな課題と感じる。 小さな努力の積み重ね、小さな輪の積み重ねしかない。 自分が変われば、周りが、社会が変わる。西東京市が変わる、と希望を持ちたい。
それにしても、あっという間の2時間であった。勉強になりました。